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金玉が腫れた

俗に「金玉が腫れた」と言いますが、この事について考えたいと思います。

男性の「金玉」は正式には精巣と呼びますが、胎生期には腎臓と同じように後腹膜腔に位置し、母親の子宮内で成長する間に後腹膜腔を下降し鼠径管を通過して陰嚢内に収まります。陰嚢内容については図のような部分がありますが、一般的によくみられる「腫れる原因」には以下の病態があります。

①精巣が腫れる状況で腫瘍化していることが多く、硬く、あまり痛みはありません。早期に切除が必要で生命にかかわることもあります。他には「おたふくかぜ」に合併してウィルス性精巣炎をきたし強い痛みと発赤、熱感をもって腫れる場合があります。

②副精巣が腫れる状況は尿道より精液が通る通路を逆行性に菌が入り、副精巣炎を起こすことが最も考えられます。強い痛みと発熱(38~39℃)が見られ、多くは前立腺炎も合併します。他に副精巣より発生する嚢胞の中に精子を含んだ分泌液を貯めて大きくなった精液瘤をみることがあります。

③鞘膜腔に水が貯まり大きくなる状況があります。陰嚢水腫と呼ばれるもので生まれたての赤ちゃんにみられる場合と、成人で慢性精巣炎の時にみられる場合とがあります。光を当てると透光性があり他の病態と見分けることができます。前述の精液瘤も透光性があり、2つの見分けは経皮的に瘤を穿制して採取した貯留液を見なくてはなりません。

④精巣より静脈血がもどっていく経路で蔓状静脈叢と呼ばれる部分がありますが、静脈血の逆流でこの部分が「みみず腫れ状態」になり、立位をとったり、下腹に力を入れたときに腫れる状況があります。これは精索静脈瘤と呼ばれ、精巣静脈のもどっていく経路の関係で、ほとんど左側に発生します。

いずれにしましても「金玉が腫れる」状態は色々の原因があり、早期の治療を要する病態も含まれます。腫れていることに気が付いた場合、痛みがなくても専門医にご相談ください。

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