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パーキンソン病と排尿障害

パーキンソン病と排尿障害について述べます。

パーキンソン病は自律神経の中枢である中脳の黒質、青斑核、迷走神経背側核などのメラニン含有神経細胞の変性・脱落により引き起こされる病気です。

健常人ではメラニン含有神経細胞でドーパミンと言う情報伝達物質がつくられ、これを使って各中枢間の伝達が行われているのですが、ドーパミンの減少により伝達がうまく行われないことが、四肢の振え、筋肉の硬直、動きの悪さなどを引き起こします。

どのような原因でメラニン含有細胞が変性・脱落するのかについては明らかではありませんが、一般的には病変は徐々に進行し、症状も悪化する傾向にあります。障害は体や四肢だけでなく、自律神経の支配を受けている膀胱や直腸には大きな影響があります。

特に膀胱では60~80%に症状が見られ、頻尿、排尿困難、残尿感、尿失禁など多彩な症状を示します。病期によっても症状は異なり、同じ人でも尿の排出障害の強い時期や蓄尿障害の強い時期を認めることもあります。

治療には欠乏したドーパミン様物質を補充する薬物が主に使用されますが、当初、効果が良くても徐々に低下してくることも多く、多くの薬剤を組み合わせて使用しているのが現状です。

このドーパミン補充療法で膀胱機能もある程度改善することもあるのですが、多くの症例では、更に膀胱排尿筋の過活動性(尿が少しでも貯まると勝手に収縮しだし、尿意が切迫して、時に尿失禁に至る)に対して、これを抑制する薬物を併用することで、尿失禁や頻尿の改善が可能なこともあります。

また逆に排尿困難が強く、過大な残尿をもつケースでは導尿法(排尿毎に管を尿道から膀胱に挿入して尿を排出する方法。慣れると自分で挿入する自己導尿が可能となる)で治療することも可能です。

いずれにしても神経内科医(神経科医)と泌尿器科医で十分に連絡を取り合って対処していくことが必要と考えます。

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