高尿酸血症と痛風Ⅱ
痛風と高尿酸血症について述べます。
痛風は主に足の母趾や踵の部分が赤く腫れて、とても痛みの強いものと良く知られています。この原因は体内の尿酸が増加して、針状の結晶となり皮下組織に蓄積され、炎症を起こした状況です。したがって痛風は高尿酸血症の病態の一つといえます。
他の病態としては、腎臓で尿酸成分が固まって尿路結石となる、また尿酸成分が腎臓の老廃物を濾し取る網の目を詰まらせて腎機能が悪化する、脳や心臓の小動脈を詰まらせて脳梗塞や心筋梗塞を起こす‥などがあります。
高尿酸血症は高脂血尿、糖尿病、高血圧などと並んで代表的な生活習慣病(昔の成人病)にあげられます。高尿酸血症の原因はほとんどが食生活の片寄りが原因と考えられます。尿酸成分を多く含む食物として鯵の干物、鰯の干物、海老、牛や豚の肉やレバー、イカ、豆腐や納豆などの大豆製品、青い魚‥等があげられます。いずれも栄養価の高い美味しい食べ物ですが、食べ過ぎると健康に悪い影響を及ぼします。
またアルコール類は食欲を増進させるのに大切なものですが、ビールには尿酸の成分が多く含まれます。適量(人によって多少はありますが、一般的には中ビン1本)では問題は少ないのですが、過ぎると高尿酸血症の原因となります。尿をアルカリ化することで、血中の尿酸が尿に多く溶け、排出されます。尿のpHが5から6へ変化すると4倍の尿酸が尿中に溶けて排出されると言われます。pHが5から7へと変化すると20倍の尿酸が排出されると言われます。尿をアルカリ化する食物(アルカリ食品)として、野菜や果物を食べることが大切です。
血中尿酸値は男性7.0~7.5㎎/dl以下、女性では5.5~6.0㎎/dl以下が基準と言われます。高尿酸血症は痛風につながるだけでなく前述したように重大な病態につながる可能性があります。
薬物治療法で血中尿酸値を低下させることは可能ですが、まず食事療法が最も基本となります。健康な時から充分に気をつけ、病気の原因を取り除きたいものです。