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クラミジアによる尿路性器感染症

クラミジアによる尿路性器感染症について述べたいと思います。

クラミジアは細菌とウィルスの中間型と言える生物で過去には大型ウィルスなどと呼ばれたこともありますが、現在は細菌に近いが別個に位置づけられる生物と理解されています。クラミジアは4つの種に分類されますが人間に尿路性器感染症を起こさせる種はクラミジア・トリコモナスと呼ばれます。

クラミジアによる男子尿道炎は潜伏期が1週間~3週間で、淋菌の2日~5日と比較してやや長くなっています。症状は排尿時の痛み、尿道口より膿の排出、尿が近いなどが代表的です。治療が遅れると、精巣より精子が射精されてくる経路を逆行して精巣上体炎や前立腺炎を合併することもあります。ここまで進行すると将来に正常な射精が妨げられる可能性も出てきます。

女性では、主に膣炎、子宮頸管炎を起こしますが、更に卵管を上行して骨盤内腔に侵入すると、腹膜炎や肝周囲炎を起こし急性腹症(重症の腹腔内感染で治療を急く状態)となることもあります。膣炎、子宮頸管炎のみの時は自覚症状がほとんどない為、性パートナーへ知らずに感染させることが多いと考えられます。

性行為の多様化に伴ってOralSexでクラミジア感染が成立することも少なくありません。これは淋病も同様です。

男性は尿道炎として発症することが主で痛みを伴いますので医療施設を受診することが多いのですが女性では当初、自覚症状が乏しく受診まで時間がかかる傾向にあります。このことは感染が拡がっていくことに繋がると思います。

ある報告によると青年男子の約5%に、一般の既婚妊婦の約6%に、人口中絶を希望して婦人科を受診した約15%に、風俗女性の約40%にクラミジアの無症候性感染(症状は乏しいがクラミジアをもっている状態で、性パートナーに感染させる可能性をもっている)が認められたと述べています。

最近、診断技術は進歩し尿及び膣分分泌物の少量より遺伝子増強法で高い感度で診断可能となっています。治療は抗生物質の内服が有効でテトラサタクリン系、ニューキノロン系の薬物が使用されます。内服期間は十分な感受性がある薬物であれば2~3週間で治癒すると言われています。

治療が遅れた場合、男性では精液の質が低下し、女性では腹腔内感染、骨盤腔内の癒着(卵管や卵巣、子宮、腸などがくっついてしまうこと)などが起こってきます。また、性パートナーへの感染拡大も起こってきます。

このようなことに注意を向けて自分の健康を守ってもらいたいと思います。 

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