前回は前立腺の解剖学的な位置や生理学的な働きについて述べました。本日は前立腺肥大について述べます。

一般的に前立腺の肥大は35才位で始まると言われます。図①の前立腺を点線部分での断面図でみると正常では図②のようになります。栗の実の形をして三日月状の尿道が中央に開いています。尿道には精子のミルクにあたる精液を送り出す管が多数開口しています。

35才を過ぎる頃より尿道に近接した、図②では斜線の部分の細胞が増殖しだして結節を形成します。そして左右から尿道を圧迫して図③のように尿道が狭くなります。この結果、尿の通過が妨げられ排尿困難の症状となります。更に肥大が進むと図④のようになり尿道は「ぺっしゃんこ」になり排尿困難は強くなります。時には尿閉と言って尿が出なくなって大変苦しい状況になることもあります。

図②の正常前立腺の体積の平均は約20㎝ですが、軽度肥大で25~40㎝、中等度肥大で40~60㎝、高度肥大では50~100㎝となります。中には100cmを超えて120~130㎝(リンゴ大)になるものもあります。

男性の前立腺肥大の組織は病理学的には女性の子宮筋腫にあたります。いずれも性ホルモンのバランスが影響して発生することはわかっているのですが、真の原因は未だ明らかにされていません。前立腺肥大を作らないようにするためには20才頃に男性ホルモンを遮断しなくてはなりません。これでは勃起も射精も不可能になってしまいます。また50~60才になって肥大してきた前立腺をより以上に大きくしないようにとの考えから抗男性ホルモン剤を使用する方法があります。しかし、この方法も勃起力が消失してしまいますので治療の第1選択としては行いません。

現在では前立腺肥大症で排尿困難などの症状をみる場合は、先ずαブロッカーと言う前立腺部尿道の緊張をとり、少しでも尿が通過しやすくなる薬剤を第1選択としています。この薬剤の使用で排尿困難はかなり改善させられるようになりました。

いずれにしても性機能を保存しつつ、排尿状況も改善することが大切となります。次回は前立腺肥大症の治療について述べたいと思います。