本日は前立腺肥大症の治療(薬物治療)について述べます。

前立腺肥大症は良性疾患ですから、前立腺そのものの体積が多少大きくなっていても、排尿にあまり困ったことが無く、日常生活を普通に送れる状況であるならば治療の必要はありません。しかし、肥大が進み、排尿困難が強くなったり、頻尿で仕事が手につかなくなるような場合、また残尿などが残って尿路感染症につながるようであれば治療の必要性が出てきます。

治療の第1選択は薬物治療と思います。使用される薬物にも色々ありますが、中でも最もよく使用されるのはαブロッカーといわれるものです。これは前立腺部尿道の平滑筋の緊張をとって、尿が前立腺の中をスムースに流れていくことを助ける働きがあります。製品名としてはハルナール、フリバス、アビシット、エブランナル、ハイトラシンなどがあります。次に昔からよく使用される生薬があります。前立腺内部に働き、これを引き締めて尿道にかかる圧力を減じ尿の通過を助けると考えられています。製品としてはセルニルトン、エビプロスタット、パラプロストなどがあります。

次に前立腺そのものの体積を減少させると言われる抗男性ホルモン剤があります。この薬剤の内服で20~30%の体積の減少が報告されていますが、副作用として勃起力の消失、射精障害が必須となります。またかなり専門的な話になりますがこの薬剤の内服で前立腺がん腫瘍マーカー(PSA)の値が低下し、もし前立腺がんが存在してもマスクされ発見が遅れる可能性があり最近では第1選択の薬剤ではなくなっています。

排尿困難の原因としては前立腺部尿道で尿の通過が妨げられるのですが、この改善を計る方法として、排尿筋の収縮力を強化するやり方もあります。製品名としてウブレチド、ベサコリンなどが使用されます。一方、前立腺肥大が膀胱に刺激を与え、頻尿(何回もトイレに行く)や、尿意を催すとトイレまで間がもたなくなるなどの症状が出ることもあります。このような時は残尿の程度などを見つつ、頻尿・尿失禁予防剤バップフォーやポラキスを使用することもあります。

前立腺肥大症の薬物治療については肥大の程度、前立腺の硬さ、炎症の合併、排尿筋の機能状況などを総合的に考え、前述したような薬剤を組み合わせて処分することになります。年齢や体の大きさによって投与量が変化することは言うまでもありません。

次回では薬物療法以外の治療法について述べたいと思います。