前回は前立腺肥大症の薬物治療について述べました。
今回は前立腺肥大症の外科的治療について述べたいと思います。

前立腺肥大症は前立腺がんと違って良性疾患ですので、もし困った症状(排尿困難、頻尿など)が無ければ治療の必要はありません。そして症状が出現しても軽度であれば薬物治療で症状は消失するか、かなり軽減します。この薬物治療で満足が得られるならば外科的治療の必要はありません。しかし強力な薬物治療を行っても症状の改善があまり得られなければ外科的治療が選択されます。

現在の外科的治療の代表的な方法は経尿道部前立腺電気切除術(TUR-P)になります。その以前は下腹部に切開を加えて恥骨後方より前立腺肥大部分を切除していたのですが、昭和50年頃よりTUR-Pが行われるようになり昭和60年頃にはほとんどTUR-Pに代っていきました。使用機器及び技術も進歩し、安全に行われるようになってきました。しかし、やはり手術ですから、合併症などの関係でリスクも多少伴います。それでも術後の効果が安定していて世界中の標準手術となっています。

方法は図に示したような切除鏡を経尿道部に挿入し、肥大突出した前立腺肥大部分を切除していきます。操作はすべて半身麻酔下に行われるので全く痛みはありません。このような図を見せて説明しますと、「痛そうですね‥」と心配顔になる方が多いのですが、手術を行っている時には全く痛みはありません。麻酔が切れても、痛み止めの坐薬を使用する位で切り抜けられます。習熟した泌尿器科医ですと約60~90分で手術は
終了し、出血などもほとんどありません。

切除する量は前立腺の大きさによって異なりますが10g~40g位が平均的です。術後2~3日は尿道に管(バルーンカテーテル)が挿入されていますが、その後抜去し、以後は自排尿可能となります。術後2週間位で
排尿状態はやや安定しますので、退院も合併症など無い場合はこの頃になります。しかし、切除した部分は粘膜が欠損した状況ですので排尿の終わり頃に少し違和感を感じることがあります。この状況は2ケ月位続き、この間に粘膜は再生して、2ケ月半後には全く安定した状況になります。

手術療法の選択する時期を逸すると腎臓に負担がかかり、腎機能障害、腎不全になることもあります。薬物治療でもあまり症状が改善しなければ良く主治医と相談してみて下さい。