本日は前立腺がんの診断について述べたいと思います。

超音波診断(エコー検査)、レントゲン使用コンピューター断層診断(CT)、磁気使用コンピューター断層診断(MRI)なその画像診断装置の開発、前立腺特異抗原(PSAまたはPA)などの血液検査の開発によって前立腺疾患の鑑別はより精度の高いものになってきました。

約30年前には肛門に人差し指を挿入して前立腺を触診し、石のように
硬くないか、表面が凸凹になっていないかをチェックすること、血液中の酸性フォスホターゼ値が高くなっていないか、患者本人の症状はどうか、血尿は出ていないか、の要素で診断をしていました。これらの項目ですとかなり進行して隣接臓器に進浸してからでないと発見できないのが大方でした。治療法も限られたものでしたので治療成績も今と比較して良くありませんでした。

しかし、最近になって前述の診断技術の発展や、薬物治療、レントゲン照射、外科的治療の開発によって早期発見、早期治療への道は開けてきました。

中高年の一般健診では会社や自治体によっては50才以上の男性にはPSA(PA)を全員チェックするところも増えてきています。また排尿に関する症状をもって医療機関を受診した場合、泌尿器科や内科、クリニックなどでもPSAをチェックすることが多くなっています。この値が基準値を超えていますと、専門家による前立腺直腸指診、前立腺エコー検査、
場合によっては前立腺MRIが必要となります。

これらの所見で前立腺がんが疑われれば超音波(エコー)検査下で針生検(前立腺に特殊な針を会陰部または直腸より刺入し、前立腺の一部を
採取し、顕微鏡で病理学的に検査する)を行います(図1)。

この生検では6ヶ所位より組織片を採取するのが普通ですが、時にはそれ以上になることもあります。前立腺内の腫瘍病巣が極く小さく、その
部分をうまく針で穿刺できない可能性があります。この場合は腫瘍が
存在しても病理組織の答としては『悪性所見なし』と返ってきます。その後の経過観察が重要でPSA値が更に高値を示した場合、直腸診所見が異常な場合、画像診断で異常な場合は再度の針生検が必要となります。臨床現場では数回の針生検後にがん細胞が認められる例も少なくありません。

現在の状況であれば、症状の進行はなくても年に1回程度の健診(PSA値の測定)は必要と考えられます。前立腺がんの治療についてはかなり進歩して、色々の選択が可能になってきています。

次回は治療について述べたいと思います。