本日は尿路感染症(膀胱炎、尿道炎、腎盂炎、腎盂腎炎など)と抗菌剤(抗生物質)について述べたいと思います。

戦前は広範囲に効果をもつ抗菌剤も少なく、高価で手に入りにくいこともあり、尿路感染症に起因する敗血症(体の抵抗力が菌に負けて全身に菌がばら撒かれ、死に至る病態)になることも少なくありませんでした。
しかし多くの有力な抗菌剤が発見、発明され感染症はかなりコントロールできるようになってきました。でも、菌の種類も多様で、突然の変異で薬に対する抵抗力を獲得する種も出てきます。

最近の身近なものでは大腸菌のO-157やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが有名ですし、泌尿器科領域ではニューキノロン系薬剤(クラビット)に耐性となった淋菌があります。有効な薬が発見され、それを使用して多くの病人を治療し、その感染を治癒させていると新しくその薬剤に抵抗性を獲得した菌が出現し、多くの病気を発生させる。
今後もこの状況が続くものと考えられます。したがって病気を起こしている原因菌を確認し、それに有効な薬剤を的確に適切な期間使用する必要があります。あまりにも短期間で服薬を中止したり、まただらだらと長期にわたって服薬しつづけるのも考えものです。

一方、最近の抗菌剤は効力を発揮する菌種も多くなっています。しかし、たまたま現在病気を起こしている菌に無効ということもありますので、どの菌で病気が起こっていて、どの薬剤が有効なのかを調べる菌培養検査と薬剤感受性検査を行って、当初処方した薬剤がもしも無効な時に、次に処方するべき薬剤を探しておくことも重要な仕事となります。常に同じ菌で尿路感染症が起こるわけではありませんので、前に有効であった薬剤が今回も有効であるとは必ずしもいえないことになります。

適切な薬剤の使用が遅れると症状が拡がり、病態も重症化することがあります。症状出現とともに早期のチェックが必要と思います。