本日は前立腺炎について最近の考え方や治療について述べます。

前立腺は男性の膀胱直下に位置し、精子のミルクに当たる粘液を作っている臓器で、前立腺が収縮することで射精されてきます。したがって前立腺は射精をするための臓器という事ができます。前立腺には前立腺肥大症、前立腺癌、、前立腺炎と3つの病態がありますが、本日は前立腺炎をとりあげます。

前立腺炎は単独で若年者(20、30才代)に発生することもありますが、多くは中高年で前立腺肥大や癌とも合併してみられます。症状は排尿困難、頻尿、排尿痛、残尿感、下腹部から会陰部の不快感、陰のう部の不快感又は痛み、大腿部内側の違和感、射精時の痛みなど多彩です。原因、分類については色々の考え方があり、未だ確定されていませんが、広く使用される分類としては、①急性細菌性前立腺炎、②慢性細菌性前立腺炎、③慢性非細菌性前立腺炎、④前立腺症となります。

①は発熱を伴うことが多く(38~40℃)、急に排尿困難、排尿痛、残尿感が出現し、時に尿閉(尿がつまってしまう)になることもあります。放置すると菌が血液中に入り、場合によっては重大な結果になることもあります。尿中白血球増加、直腸指診で前立腺部の著明な圧痛、血液の炎症所見、尿中又は前立腺液よりの菌の検出で診断を行い、前立腺組織内によく入っていく抗生物質を点滴使用して治療を行います。

②は発熱は無く、尿そのものの感染もほとんどありません。直腸指診で圧痛があり、前立腺液に白血球が認められ、培養で菌の検出を行います。症状は慢性に経過する多彩な症状で、多くの症例で症状が波のように上下することが見られます。抗菌剤の内服治療が主になりますが、最短でも4週間位の抗菌剤内服が必要となります。長いものでは数ヶ月~年余にわたるものがあります。

③は症状は②と全く同じです。しかし前立腺液より菌の検出ができません。ただ、細菌以外の微生物が原因のことも考えられ、当初は抗生剤の投与を短期間行います。

④は症状は②や③とほとんど同じですが、前立腺液中に白血球を認めず、症状も多岐に渡ることが多く、それゆえ神経症に近いものではないかと考えられたこともありました。しかし、細菌アレルギー性のメカニズムなどが関与していることが解ってきて、治療の方向も新しい理論が追加され、幅が広くなりつつあります。近い将来、有効な薬剤が発明されるようになると思われます。

以上のように前立腺炎は原因、分類、治療について尚明らかでない部分があり、日常診療の中での説明でも歯切れの悪い説明になることもあります。今後の研究を待ちたいと思います。