暑い夏から短い秋を経て急に寒くなりました。朝晩は5℃前後の日もあります。

この季節になると前立腺肥大症を伴って、やや排尿困難の症状を持つ人や、骨盤底筋(膀胱などを支えている筋肉群)が弱くなり、膀胱が下垂して、腹圧性尿失禁などの傾向にある人は辛い状況となります。

一般的に夏から冬に気温が変化しますと、一日尿量は2~3倍に増加します。もし夏と同じ量の水分を飲んでいたとすればもっと多くなるかも知れません。気温が高いと(30~35℃)汗や水蒸気で大量の水分が体より出て行き、尿にまわる割合が低くなります。逆に気温が低下すると(5~10℃)、汗はほとんど出ず、水蒸気で失われる水分も極端に少なくなります。

したがって1日尿量でみると夏に800~1000mlであった人が、冬に2000~2500mlとなります。本人の摂っている水分はあまり変化していませんので、急に温度変化があった場合、1日尿量がすごく増加したと感じます。当然、1日排尿回数も増加し、夏には5~6回の排尿回数(1回排尿量が100~150ml)であった人が、1日8~10回(1回排尿量200~300ml)と増加します。

また尿の濃度も異なります。夏には黄色(暑い日で汗の多い時は褐色)であった尿の色が冬には水に近い色に変化します。比重も夏1.020~1.030であったものが冬1.005~1.015に低下します。

これらの現象は体温を一定に保つために体が汗をかいたり、水蒸気を出したりして調節すること、また体液中の水分割合を一定に保つために不要な水分を尿として排出することなど、自律神経が体の状態を一定に保とうとする動きの結果です。したがって冬には1日尿量が増加し、1日排尿回数も増加傾向となり、また1回排尿量も増加傾向となります。夏はこの逆です。

温度変化の強い季節には体は対応していても意識変化が伴わず、急に頻尿(排尿回数が増加すること)になったと心配する人も少なくありません。排尿はスムーズで残尿感などなく、1回排尿量も150~350ml程度であれば排尿回数が増加しても生理的な理由によるものですので心配は全く不要です。

しかし排尿困難があり、日常困っているケースでは排尿回数の増加により困る回数も増加することになります。また腹圧性尿失禁(くしゃみ、咳)や急迫性尿失禁(尿意を感じたら間が持たない)の傾向のある場合もその頻度が増加することになります。

この様なケースでは体温に気をつけることが大切です。また薬物などで多少改善させることも可能です。