前回は前立腺がんについて述べました。本日は前立腺肥大症について述べます。

男性の前立腺は女性の子宮に類似する臓器で、肥大腺腫は肉眼的外観では子宮筋腫に似ています。前立腺肥大症が悪性化することは無く、前立腺がんとは全く別のものです。前立腺肥大は図のように尿道を取り囲むように出現してきます。

一方、前立腺がんは直腸に近い部位に発生します。前立腺肥大は35才位より始まると言われており、臨床的症状の大小はあるものの、中高年以後では80~90%に前立腺肥大が認められます。20才前後の男性の正常前立腺の解剖学的体積は18~20㎝と言われますが、肥大症例では軽度で30~40㎝、中等度で50~80㎝、高度でも80~120㎝の大きさになります。

尿道を取り囲むように位置しますので、肥大が発生すると、その程度に応じて尿道が圧迫され、その結果、尿の通過が困難となってきます。膀胱の排尿筋の仕事量が増加して、膀胱壁が刺激され、不安定となり尿が近くなったり、尿が出にくくなり残尿が発生することもあります。

尿の通過がスムーズにいかないと前立腺炎や膀胱炎、時には腎盂炎につながることがあり、症状は急速に悪化します。頻尿、排尿時痛、残尿感、発熱などの症状が出てきます。更にすすむと腎機能が悪化することもあります。

症状が軽度の場合は薬物治療で改善を計れますが、薬物治療でも改善が無く、日常生活上、生活の質(QOL)が低下するようであれば、外科的治療が必要となります。外科的治療も色々の方法がありますが、最も安定した良い結果を出せるのは経尿道的前立腺電気切除術(TUR-P)です。半身麻酔下で手術が行われますので痛みは全くありません。

部位が部位だけに我慢をしすぎて悪化する症例もありますので、注意していただきたいと思います。